2008年12月20日土曜日

とれない痛み

ガンの養生中の方で、何らかの痛みがある方には、生姜湿布、温灸、半身浴、血流をよくする漢方、体を温める食材などを用いてとにかく血の流れを良くする養生をやっていただいています。

ところが、こうして温める養生をやりだして1ヶ月ほど経ったあたりから、痛みが急に増してくることがあります。特に、抗ガン剤や放射線などの療法をしつこく続けた方ほど、この傾向にあります。
これは、頑固で強烈なオケツがあるためです。

細い血液の流れの中に塞がっていた岩のようなオケツの塊が、血流がよくなったことで動き始めます。入浴時や、温めているときは、流れがよいので大丈夫なのですが、入浴後や体が冷えてくると、動き出した岩の塊が沈殿したり、冷えて縮んだ血管の中で再梗塞を起こし、激痛が生じるというイメージです。
こんな症状が出たら、温めるのを恐れるのではなく、むしろ良くなる兆候と捉えてください。
このときの治療の方針は温陽活血です。
つまり、温めて、流れを良くしながら、オケツも溶かしていかねばなりません。さらに、流れる血液自体が少ない方は血を養うことも必要です。

活血作用のある食材は、チンゲンサイ、クワイ、黄桃、玉葱など限られていますので、ここはやはり漢方薬を利用すべきだと思います。活血剤は、使うバランスが難しく、体調や状態によって種類や量を決めねばなりませんので、お悩みの方はご相談いただければと思います。

2008年12月3日水曜日

血虚と痛み

気をつけて!血が足りない人の痛み!

ガンの方で、骨転移などの痛みについてご相談される方はとても多いです。
そんなとき、気をつけなければならないのは、血虚(血が不足している方)がある方です。
具体的には、貧血の方、慢性的に体力を失っている方は勿論ですが、放射線や抗ガン剤をやっておられる方は、すべてこれにあてはまると考えてよいと思います。また、過去3年以内に、これらをやったことがある方もそうです。

ご存じのように、抗ガン剤や放射線の副作用は、骨髄抑制です。
白血球、赤血球、血小板を含むいわゆる血液が不足状態にあります。
ガンの方に痛み止めがなかなか効かない理由の一つに、血液不足があります。
少ない血液の上、さらなる痛み止めで発痛物質を押さえ込んで、血の流れを細めてゆくのですから、これは悪循環です。

それでは、漢方の活血薬ならどうか?
活血薬とは経絡の詰まりをとったり、血管の詰まりを通して流してゆくお薬ですが、これも血虚の方には危険!
何故か?それは、血のないところを無理矢理通そうとすると、摩擦が生じて、より強い痛みが出ることが多いためです。
イメージとして、潤滑油がない歯車を無理矢理に回そうとすると、ギコギコいって歯車を傷めますよね?それと同じ。血虚の方は潤滑油がなくて痛みが出ていると考えてよいと思います。

したがって、子羊袋(プラセンタ)や養血のものを使いつつ、少量の活血剤からはじめてください。
血虚の原因が、脾虚にあれば、さらに原点に帰り、大熊柳や紅参等で脾胃を補いつつ、養血することが先決です。十分に血ができてこれば、活血剤を使うことが出来ます。
原点は、体が虚していればまず補からです。
焦らずに一歩一歩、体を立て直してゆきましょう。