ページ

2008年9月30日火曜日

抗ガン剤と痰湿

抗ガン剤による治療で、骨髄抑制や神経障害等の重大な副作用の他、患者さんが自覚的に感じられる症状の代表が、
”体がだるく、何もやる気がしない・・・、吐き気がして食欲がない、頭がスッキリしない・・・”
などです。

これは、東洋医学的にいうと痰湿の症状にあたります。
抗ガン剤は、毒により細胞をやっつけるものですので、そのいたるところで組織破壊が起こります。
そして、炎症を起こしますが、炎症がおこるところには、水が集まります。
ちょうど風邪をひいたときに、鼻水や痰が生じますが、それと同様なものが集まってくると考えてください。

体に痰湿が増えてくると、重くダルイ、動けない、やる気が起きない、頭がスッキリしない、吐き気がする、生唾がでる・・・・などの症状が出てきて、活動する気力を削がれてしまいます。

抗ガン剤治療中は、補気養血の養生も大切ですが、痰湿が溜まらないようにそれを除去してゆく工夫も大事です。
ひとつには、タンポポ茶、鳩麦、赤小豆などによる痰湿の除去です。
麺類、油物、肉類、砂糖の多い食品は痰湿を溜めますので、避けていただき、玄米や雑穀のお粥に、赤小豆、鳩麦、かぼちゃ、人参などを一緒に炊いて召し上がるとよいですね。
里芋のお味噌汁もお勧めです。

抗ガン剤は、治療といっても人体には毒であることはまちがいないのですから、積極的に解毒を促進しつつ、体力を補ってゆくことが大切です。
”解毒したら、抗ガン剤が効かなくなるのでは?”
とおっしゃる方がありますが、そういった心配はありません。
体を立て直し、免疫力を高めることが、本当の治療につながるからです。

2008年9月25日木曜日

足の裏の火照りと違和感

読者さまの中で、足の裏が火照る、ジカジカする、あるいは、太もも等に熱いお湯をかけられたような異常な熱感がある方はありませんか?

これらは、更年期の女性、ご年配の方、昼間に汗をかきすぎている方、夜に熟睡できない日が続いている方などにおこりやすい、いわゆる陰虚の症状です。
特に重大な病ではなくとも、この症状、気になりますよね・・・・。
これには良い方法があるので試してください。
それは、寝る前に、足の裏の湧泉、腎経の照海、復溜、脾経の三陰交に、お灸を据えることです。
せんねん灸でよいので、試してください。
イヤな感覚がとれて、よく眠れますよ。

ただし、この症状が出たということは、体質的に陰虚になっているので、適切な漢方で滋陰養血し、陰虚体質から脱することも忘れないでください。

2008年9月20日土曜日

抗ガン剤治療と鬱証

抗ガン剤治療を始められた多くの方に、気分の落ち込み、プチ鬱、鬱証がみられます。
症状としては、
1,体がだるくて何もやる気がしない
2,思考がまとまらず、同じ事ばかり繰り返し考えて悩む
3,頭がスッキリせず、塞がった感じ
4,たとえようもない不安で眠れない
5,熟睡できないために、昼間がまどろんだ感じで、気力がわかない等

この原因として、一つには、抗ガン剤は強い骨髄抑制を起こしますので、慢性的な血不足となります。
肝は血を貯蔵する臓器ですが、肝血不足が起これば、情緒が条達されず、気の滞りや滅入りを生じます。
血が不足すると、心や脳も栄養されず、気力が出ない、考えがまとまらない、熟睡できないなどの問題が生じやすくなります。
さらに、肝血が不足すれば、解毒代謝機能も低下し、疲労物質等も体に残りやすくなり、これがまた気分を塞ぎます。

もうひとつの原因は痰です。
抗ガン剤は細胞を傷害するため、組織炎症を引き起こし、炎症が生じると必ずその周りに痰が生じます。
これは鼻炎などで鼻水や痰が出てくるのと同じで、痰は全身どこにでも生じます。
保健室では、ガンの患者さんで、温灸に通っておられる方も多いですが、抗ガン剤が始まると、皆さん一様に痰が生じ、特に後頭部、百会、足首周り等が、痰湿でブヨブヨになってくるのがわかります。
舌裏をみると、舌根の部分が痰で真っ白です。
痰は、正常な気血の流れを塞ぎますので、頭が清陽せず、気が重い、スッキリしない等の症状が出やすくなります。

従って、本格的な鬱に至らせないためには、邪を解毒しつつ、滋陰養血、補腎精をすることが大切!処方やそのタイミング、ブレンドの割合は、個々により違います。

2008年9月16日火曜日

汗のかきすぎと養生

汗をかきやすい・・・というのは、東洋医学的には気虚(脾気虚)といいます。
気のひとつの働きに、体液が漏れ出るのを防いだり、血液が漏れ出るのを防ぐ働きがあります。
亡くなって直後の人の体から、お布団もぐしょぐしょになるくらいの体液が出ることを、皆さん体験しておられることと思います。
気の働きが弱ってくると、汗ばかりか、尿が漏れる、水のようなおりものが増える、血尿、便出血、生理がダラダラと続く、内出血しやすい・・・等の症状が現れやすくなります。
要するに、大切な体液や血液を失わないように、体内にとどめているのは気の働きなのです。

それでは、どんなことで気は失われるのか?それは、摂ったエネルギー以上に気を消耗したときです。
肉体的なエネルギーの消耗の他、生理的エネルギーの消耗と、精神的エネルギーの消耗があります。
肉体的エネルギーの消耗:筋肉疲労、仕事のしすぎ、体力を消耗する運動のしすぎ
生理的エネルギーの消耗:寝不足、食欲不振、汗のかきすぎ、下痢、多量の出血
精神的エネルギーの消耗:ストレス、あれこれ思い悩む等

この夏はやたらと暑く、汗をかきすぎた方も多かったと思います。
汗とともに、気は出て行ってしまうので、汗をかけばかくほど、さらに気の留める力が不足して、ますます汗をかき消耗する!の悪循環に陥りやすくなります。こんなタイプの方に適切なものは、気と陰液を両方補う、生脈紅景天です。

さらに、冷たい物や、水分のとりすぎで、脾胃の働きが弱まっている人では、正常な気が作られません。体が重く、だるくしんどくなります。
このようなタイプには、健脾利水解毒の鬼菊がお勧めです。

食事では、玄米、豆ごはん、かぼちゃ、山芋など補気作用のあるものと、梨、びわ、白きくらげ、豚肉、ほたて貝など滋陰作用のある食材を取り入れてください。また、酸っぱいものも収斂作用があるので、汗をかきすぎのときにはよいですね。そして、睡眠不足をしないことも大切ですヨ。

2008年9月10日水曜日

汗のかきすぎと生理不順

ご相談

この夏は特別に暑かったせいか、昼間もとてもよく汗をかき、夜になると、手足や顔が火照り、気がつくとびっしょり汗をかいている状態で、熟睡できず、本当に体がしんどいです。
生理もここ2ヶ月ほど来ていませんが、この異常な汗と関係あるのでしょうか?

りえぴょんのアドバイス

お尋ねの症状は、夜間の寝汗、ほてりなど、陰虚の症状がとても強いようです。
昼間の汗もあり、気の消耗もあるので、子羊袋を朝晩6粒の他に、朝を生脈宝1包、夜を亀齢寿6粒にしてみましょう。

津血同源、精血同源といって、汗と血はもともとは同じ津液(陰分)です。
汗による消耗が激しいと、その分、血も不足し、特に生体の維持に必要な器官ではない子宮には、分配される血液の量が減ります。
その結果、子宮内膜が十分に出来上がらなければ、生理を起こす力も不足します。
今は、消耗した、気血と津液を補い、汗をかきすぎないことが、生理を起こすための大切な養生です。

また、天蘭美人の併用をお勧めします。こちらは、血の消耗を助け、補い脳を栄養することで熟睡を導くものです。
貧血の方には特にお勧めで、例えば食事で血になるものを摂れていないときに補う形でも随分ちがうと思います。

血を作るためには、色の濃い野菜や、黒い食べ物を摂りますが、陰液全般を補うには、白いものを補います。
例えば、これからに季節、梨、枇杷、銀耳、松の実、白ごま、豚肉、貝ばしら等。火照りが強ければ、豆腐やヨーグルト、白菜、セロリ等もメニューに取り入れてください。

2008年9月5日金曜日

骨転移の痛みと養生

前立腺ガンや乳ガンは、とても骨転移しやすい性質をもっています。
主に、骨盤や背骨など太い骨に転移が多いが、冷えは転移の大敵です。
督脈上の陽気を集める、大椎(首のグリグリの下あたり)、そして仙骨の部分お臍、両鼠径部リンパの部分等を温灸でしっかりと温めてください。

非ステロイド性の鎮痛剤、ステロイド、座薬、を使用しているような方は、血流が細くなり、血虚おけつを生じます。
通じざれば即ち痛むのが、痛みの法則ですので、温めることと、血を増やす養生により、少しずつ減らしてゆけると良いですね。

また、抗ガン剤や放射線治療中の方では、組織破壊による炎症・・・すなわち”おけつ”が生じやすくなります。
この場合は、治療により、気、血、津液、精の不足を招いた結果、生じた”おけつ”ですので、単に炎症を抑える清熱解毒薬や、”おけつ”をとる行気活血薬だけではよくなりません。
適切な補陽、滋陰養血、補腎精のお薬を用います。

このように、痛みといえば、活血薬、通絡止痛薬等で、通して痛みを除去することばかりを考えがちですが、その原因に応じ、去邪とともに、足りないものを補うことが大切です。
骨転移の痛みは激しいと言われますが、適切に養生すれば、かなり緩和できるものです。
骨は、腎精に深く関与していますので、長く痛みが取れない方は、補腎精に目を向けてみる必要があります。

2008年9月4日木曜日

逆流性食道炎が改善

40代の男性で、昼夜不規則な勤務の上に、緊張と時間に追われるお仕事で、長期にわたり、逆流性食道炎で悩まれていた方です。
病院ではパリエット等が処方され、また別の薬局で、大柴胡湯、茵陳蒿湯、半夏厚朴湯・・・・などを服用しておられましたが、なかなかスッキリせずに、こちらに相談されました。

主訴は、食欲がなく、胃に力が入らない、消化管が下垂する感じ、食後2時間ほどすると、胃液が逆流して胸やけ感がある、胃がシクシク痛む、お腹が張って膨満感がある、便がスッキリせず、結腸のところに違和感が感じられる・・・・等
けれども、調子が良いと食も進み、その後またしんどくなる。便に酸臭があり、舌は紅で黄色い膩苔がある。

体質的には冷え性で、あれこれと悩む心脾両虚、肝脾不和のタイプですが、食べ過ぎ等が時々あるのか、下焦湿熱を生じている、複雑なタイプ

最初、疏肝健脾、利水解毒の薬草である鬼菊
益気昇提作用の補中益気湯
健脾益気と活血作用をあわせもつ大熊柳
をお出ししたところ、お腹が温まり、とても気持ちが良いと言われた。

ただ、今ひとつスッキリとしない・・・・。久病による気血の消耗があり、完璧症であれこれ悩んでしまう性格のため、自律神経、免疫、ホルモン系のクロストークがうまく働いていない。ご本人の希望もあって、鬼菊を止めて、紫霊芝(紫霊芝、冬虫夏草、田七人参、半枝蓮、白花蛇舌草、三稜、我朮、大青葉、鬱金、黄精、温州蜜柑皮)と子羊袋をお出ししたところ、とても調子があがってきた。

現在、紫霊芝、大熊柳、子羊袋、補中益気湯で安定し、仕事に励まれている。