2011年10月26日水曜日

雑病解説 五臓と浮腫

体のむくみは、日常的に経験するものから、腹水や胸水など深刻なものまでありますが、五臓の働きと大きく関わっています。それぞれの原因、特徴と養生の仕方についてご紹介します。

★肺に関する浮腫
原因:雨風、湿度上昇、気圧低下、気温の急激な変化で、肺の宣発と粛降が低下
特徴:病の初期に現れやすく顔や頭部、瞼など上半身に症状が現れやすい、頭痛、悪風、発熱、喉痛、咳などを伴う
治療方針:肺に働く薬味を用い、解表させて発汗、利尿を促す
養生食:すり下ろした生姜に味噌を加え、熱湯を注ぎ、白ネギを散らす

★脾に関する浮腫
原因:生もの、砂糖、脂濃いものを食べた、雨に濡れる、湿気の多い住環境、長時間の座位などにより、脾の運化が低下、慢性の脾虚による栄養障害(低アルブミン血症)・・・気血不足
特徴:手足が腫れぼったく重だるい、倦怠無力感、下痢軟便
治療方針:黄耆、白朮などの利水作用のある補気薬、猪苓、茯苓などの体を冷やさない利尿薬を用いる
養生食:切り干し大根と干し椎茸の煎じ汁を服用

★腎に関する浮腫
原因:老化、病の長期化、脾虚、過労による腎陽不足、ネフローゼ、腎炎、ホルモンの変調
特徴:下半身の浮腫、足腰の冷え、押すと陥没してもどりにくい、湧泉の虚、尿量減少を伴う
治療方針:温腎補陽利水の薬味を用いる
養生食:黒豆150グラムに水750CCを加え、液量が半量になるまで煮詰め、さらに赤ワインを200CC加え、アルコールを飛ばした汁を一日2~3回に分けて服用する

★心に関する浮腫
原因:疲れ、過労、栄養不足による心拍出量の低下、心不全
特徴:夕方以降に足が浮腫む、昼間の尿量が少なく、夜間にトイレに起きる、朝と晩との体重差が1キロ以上ある
治療方針:心のエネルギーを増やして血行動態を改善する
養生食:レバーとニラのゴマ油炒め

★肝に関する浮腫
原因:肝の造血と疏泄機能の低下、肝硬変、肝炎
特徴:腹部に膨満感があり、肝臓が腫れてときに痛みがある、食欲がない
治療方針:血虚及びおけつの改善、清熱解毒、破血散結、理気剤を逐水薬に併せる
養生食:小豆と鯉のスープ、しじみ汁

2011年10月19日水曜日

ガンと少陽体質

少陽体質とは一体何でしょう?

傷寒雑病論の中で外感病の証と特徴を体系化した六経弁証では、少陽経は胆を主り、その経路は胸脇を巡って耳に連絡する。そのため胸脇痛や耳の不調を起こしやすいと言うような内容があります。

また、風邪などの急性病を感受したときの少陽病の特徴として、発病後4~7日を経過し、口が苦い、喉が渇く、微熱があり、寒気と熱感が交互に現れる、食欲がない、吐き気、お腹が痞えるなどの症状が見られます。

これは病が完全な表面でもなく、完全な裏でもない半表半裏にある状態です。
半表半裏のうちに、病を撤退させるか否かで、その後の明暗が分かれます。
ここからはあくまでも私の考えですが、半表半裏とはつまり境目であり、これが即ち少陽ということです。

少陽は日常生活の中でいろいろとありますよ。
長い人生で見れば、ホルモンのバランスが大きく変化する更年期は大きな節目です。
社会生活で見れば、入学、就職、結婚、出産、転勤、退職等の生活の変化の時期が少陽です。
一年の季節の変化でいけば、陰の気が最も盛んなのが冬至、陽の気が最も盛んなのが夏至なので、春分と秋分の時期が季節の境目で最も不安定な季節です。
そして一日の変化で行けば、陰の気が最も盛んなのが午前0時、陽の気が最も盛んなのが正午ですので、午前3時~9時と午後3時~9時が陰陽のバランス、即ち光の量や気温等が入れ替わる非常に不安定な時間なのです。

少陽の時は、自律神経のバランス、ホルモンのバランス、免疫のバランスが、外部の環境に応じて変化しようとしますので、様々な症状が現れます。
季節の変わり目や、一日の温度変化が激しいとすぐに風邪をひく方、眩暈、のぼせ、動悸、息切れ、ふらつき、頭痛、咳、吐き気、便秘や下痢に悩まされる方は少陽体質です。
少陽体質は、体の中に不足が生じていたり、あるいは逆に少陽の経絡に気や痰湿などの阻滞があっても起こりやすい傾向にあるので、ここで養生すれば万全です。

ガンが発病した方は、少陽のときに調整しきれなかった(養生しなかった)か、体に頓着せずにがむしゃらに生きて、少陽のサインに気がつかなかったかのどちらかであることが非常に多いです。
ですので、体に不快な症状がある方は逆に言えば養生の機会を示されているのですから、とてもラッキーな体なんですよ♪

少陽の養生の仕方は、不足があれば補い、余りあれば除くに尽きます。
不足には通竅やコルマータ、解毒にタンポポ茶、龍衣、馬鞭草などを用いることが非常に効果的です。
ただし、人により千差万別ですから、お早めにご相談くださいね♪

2011年10月11日火曜日

夜間頻尿

朝夕寒くなりました。
ここのところ、夜中のトイレの回数が増えて不眠がちの方が増えています。
今年の夏は蒸し暑く、頭や首回りからびっしょりと汗をかいた方が多いようです。
汗は心の液といいますので、かきすぎると心の働きを消耗します。
つまり、心臓がちょっとお疲れモードで、多くの方が秋口にこの症状が現れます。

心に疲れが出ると、1回に送り出す心拍出量が減ります。
昼間は起きて活動しているため、内臓よりも筋肉等に血液が供給されますので、肝臓や腎臓では血液が不足しがちです。
こうなると、尿もあまり排泄されません。

夜になって体を休めますと、逆に内臓への血液が多く配分され、起きているときと比べて3倍の血液が腎臓にも流れます。
すると、昼間に濾せなかった体液が解毒されて尿として排泄されてくるわけです。
夜間に2回以上目が醒めるのは夜間頻尿で、充実した睡眠が得られず疲れがとれませんので、以下のような養生を心がけてください。

1,疲れを溜めないようにこまめに横になることもよいですし、無理をしないこと。
2,心臓や肝臓の働きを助ける栄養として、コルマータQ10(コエンザイムQ10+高麗紅参・・・1ヶ月分
12600円)がお勧めです。
尚、コエンザイムQ10は、レバーやハツ、赤味のお肉に多いです。
3,下半身を冷やさない・・・足浴、腰浴がお勧め
4,ふくらはぎの筋肉を鍛える・・・かかと上げ下げ運動を50回程度続ける(こまめにやるとよい)
5,お腹のマッサージや肝腎の部分とお腹のコンニャク温湿布がお勧めです。

秋冬にしっかりと体力を補うと、来春はとても快調になりますよ。

2011年10月5日水曜日

ガンと慢性炎症

1,正常細胞は生きてゆくのに大量の酸素とほんの少しのブドウ糖があればOK
2,ガン細胞は生きてゆくのに大量のブドウ糖を必要とし、酸素は無くてもOK

ガン細胞は分裂して増殖するのに、正常細胞の18~29倍もの大量のブドウ糖を要求すると言われています。
健康体では、血液循環がよく、正常細胞は酸素を十分にもらいながら、効率よくブドウ糖をエネルギーに変えてゆきます。
このような状態のとき、いくらガン細胞があったとしても、彼は分裂して増えることができません。
それは正常細胞とブドウ糖を分け合わねばならず、大量のブドウ糖を必要とするガン細胞には圧倒的に不利な状態にあるためです。

ところが慢性的な炎症がある組織では状況が異なります。
炎症がある組織では、傷を治すために血小板が集まり血液を凝固させます。
そうなると、血液循環は止まり、酸素が供給されなくなるので、酸素を必要とする正常細胞は死滅してしまいますが、ブドウ糖などの栄養分を含んだ血清成分は血液循環が止まっていても浸透圧で供給されるために、炎症の組織は、ガン細胞にとっては一人勝ちの天国です。

水ぶくれ、腹水、胸水はブドウ糖を含んだ栄養豊富な組織液でガン細胞の温床となります。
抜いても抜いても炎症がある限り、水は溜まりますし、栄養を抜くのですから体力は低下します。
この悪循環を絶つためには、元になる炎症を抑えることが大切です。

ガンの予防と言いますと、誰もが免疫力の回復のみに目を向けますが、一方では体に慢性の炎症を作らない養生もとても大切なのです。
炎症と付くもの・・・脳炎、中耳炎、鼻炎、口内炎、扁桃腺炎、気管支炎、心筋炎、肺炎、胃炎、潰瘍性大腸炎、膵炎、胆嚢炎、虫垂炎、肝炎、腎炎、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、子宮内膜炎、卵巣炎等は勿論のことですが、もっと軽い炎症も含みます。
例えば、風邪をすぐにひく、熱っぽい、体がだるい、火照る、食欲がない、口臭がある、気分が憂鬱、イライラ、鬱病・・・いわゆる小柴胡湯や加味逍遥散の証を呈するプチ炎症こそ、早めに対処して養生することが大切♪

保健室からお勧め

★ガンで養生中の方と、炎の付く病気の方は、免疫を上げるだけでなく清熱解毒剤を取り入れてください。
ガンがあるということは、即ち炎症が存在するということです。
具体的には紫霊芝(1ヶ月分50400円)、霊芝胞子(1ヶ月分8190円)、タツノアオイ(1ヶ月分18900円)など
★プチ炎症に悩む方、季節の変わり目に必ず体調が崩れる方には、馬鞭草(1ヶ月分7350円)と龍衣(1ヶ月分9240円)の併用がお勧めです。
常備して早め、早めに炎症の火を消しておきましょうね。