2016年11月17日木曜日

高カロリー輸液の善し悪し

高カロリー輸液の善し悪し

何らかの事情で口から食べ物が入らない場合、点滴や中心静脈栄養のお世話にならざるを得ないのですが、口から少しでも入るのとそうでないのとでは、予後も大いに違ってきます。

今回、身内が腸閉塞で入院した際には、鼻腔からイレウス管が入っており、絶食絶飲で口をすすぐのもダメ・・・という状態が丸2週間続きました。
その間ずっと高カロリー輸液のお世話になっていましたが、イレウス管の処置でも回復せずに手術が決まっても2週間も手術できずに手をこまねいていたのには理由があります。

それは、腸閉塞により胃液や腸液を激しく戻した際に、吐物が気管の方へ流れ込んでしまい、誤嚥性肺炎を起こしたためです。
毎日大量に嘔吐があり、飲まず食わずの状態が続けば、体はヘロヘロになり体力、免疫力が低下しているところへ、高カロリーのブドウ糖がダイレクトに入ってこれば、細菌にとっては思うツボ・・・一気に肺炎が悪化します。
弱り目にたたり目で、足に蜂窩織炎まで起こし、手術の日程が延びてしまったのです。


熱が下がった日を見計らって手術しましたが、術後も傷口が化膿したり、腹水を起こしたりして心配な日々が続きました。
体力が弱り、中心静脈栄養を施されましたが、これまた肺炎が再燃しスッキリしないという悪循環でした。

1ヶ月たち、やっと重湯などを1~2口とれるようになってきたら、みるみる顔色も回復して良い兆しが見えてきました。
高カロリー輸液は、ある意味命をつなぐものではありますが、がんも細菌も大喜びするものでもあります。

口からの食べ物は、腸管を刺激し、免疫を活性化することをしてくれるので、ただ単に栄養を入れる点滴とは大いに違います。
食べ物が口から入らず、消化管が動かない・・・ということは腸管が免疫、栄養作り、解毒、代謝など様々な働きをストップさせてしまう・・・ということなので、長くこのような状態が続けば、腸の粘膜やパイエル板機能は萎縮してしまい、大いなる弊害が生じ、回復にも罹った時間の何倍もの時間を要する可能性があります。

1口、2口食べることが出来る・・・これが腸管を動かすためにもとても大事なことなんですよね。
もどかしいかもしれませんが、たとえ少しでも口から食べられる・・・ということは、腸管が通って便やガスが出るのと同様、生命力の回復を意味することです。

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