肺ガン及び、咳痰がある方の秋の養生
秋は西風が吹き、乾燥の季節・・・・ここのところ気圧も高く、湿度も50パーセントを割るようになってきました。
空気が乾燥して冷えると、最もダメージを受けやすいのは五臓の中の肺です。
肺は嬌臓といい、乾燥にも湿気にも弱い臓器で、乾燥が激しいと、熱を持って炎症を起こし、いがらっこい空咳になったり、血痰が出たりしますし、湿気が多ければ痰が溜まり、ゼロゼロした痰まじりの咳が現れます。
肺に病巣があると、そこに炎症が起こり、マクロファージ等が集まってくるために、病理産物である痰が形成されます。
特に、長期間に渡って放射線による治療を受けたような場合には、肺が乾燥しやすく、この乾燥の季節とあいまって、血痰が続くような場合も多く見られます。
このような時の治療や養生は大変に難しく、補と瀉のバランスをうまくとった微調整が必要になります。
その内容としては、
1,ガン本体の勢いを弱め、炎症を抑える薬味を用いながら、片方では体を温め、免疫力を増強する薬味を使用する
2,苦しい咳、痰の原因になる痰湿をとりのぞく薬味を使いながら、片方では肺を潤し、硬くなったガン本体を滋陰して柔らかくし、壊しやすくするような薬味を用いてゆく
養生では
1,玄米や雑穀を主食にした穀物+野菜+豆+海藻+きのこ の基本の食事を、この季節には炊き込みご飯や鍋物にして、体を温める食事を作る (キムチなどの辛味は控えてください)
2,痰湿を除去しつつ、肺の乾燥を防ぐためには、のり、こんぶ、里芋、豆乳、白ごま、百合根、銀杏、ビワなどの食材を取り入れる・・・晩ご飯に刺身、ビール、生野菜などの体を冷やす食事は絶対に止めましょう
3,血痰がある方は、黒きくらげ、オカラの料理をこまめに取り入れる
4,首筋と肩を決して冷やさないことと、温度変化に上手に対応すること・・・特に夜間~明け方の冷えに要注意
5,背中の督脈沿い、肺の募穴の中府、両耳を温灸でよく温めましょう