2015年4月30日木曜日

心悸(動悸の様々な原因)

心悸(動悸の様々な原因)

心悸とは、心臓が拍動して不安になる症状をいい、動悸に相当します。
心悸は、頻脈、徐脈、不整脈(期外収縮、心房細動)、心筋炎、心不全などの心疾患の他、自律神経失調症、心臓神経不安症、鬱証などにも見られます。

心悸は急な治療を要するものと、そうでないものとがありますが、いずれにしても非常に不愉快で不安感を伴う症状なだけに、日常相談を受ける上位の症状です。
心悸には、虚証・・・何かが足りずに起きる と実証・・・何かが滞って起きる があり、それをしっかりと弁証して、養生する必要があります。

虚証の心悸
*寝不足や過労により、元気は不足して起きる・・・コルマータQ10などの補気剤、紅景天などの補肺気薬を用いる
*めまい、不眠、多夢、顔色白いなど、血虚により起きる・・・コルマータQ10や、棗参宝、帰脾湯などの補血薬を用いる
*汗のかきすぎ、喉の渇き、下痢などの後の心悸・・・生脈宝、炙甘草湯などの気陰両虚薬を用いる
*じっとしていられないほどの煩燥、不安感、イライラ、ほてり、眠れない・・・亀齢寿、知柏地黄丸などの補腎+滋陰薬を用いる
*冷えにより水はけが悪く、めまい、吐き気、むくみなどを伴う心悸・・・火神丹、苓桂朮甘湯、真武湯など、温陽利水薬を用いる

実証の心悸
*激しい動悸、胸悶、心痛、脈の結滞を伴う・・・循環元、紅羅布麻などの活血薬を用いる
*気持ちのイライラ、落ち込み、喉の痞え感、不安感、胸脇部の痛みなどを伴う・・・新ノーゲン、四川富貴廣、半夏厚朴湯など、肝欝痰阻をのぞく物を用いる

同じ心悸でも、このように原因が違ってきますので、気になる方はご相談くださいね♪

2015年4月22日水曜日

痰湿とりの名コンビ

痰湿とりの名コンビ

60代の男性のお話ですが、後頭部にブヨブヨしたおできのようなものが、しょっちゅう出来たり潰れたりする体質という。
この度は、右の頸部リンパ節が、もっこりと腫れ上がり、首筋がわからないほどになったので、病院で検査したところ、悪性ではないけれど、切った方がよいですね・・・と言われたとのこと。
手術はできればしたくないので、漢方で・・・ということでご相談を受けました。

みてみたところ、炎症が起きているとか、化膿しているようなものではなく、痰湿(余分な水とアブラがゼリー状になったようなセルライトのような状態)とみてとれたので、食生活を聞いてみると、甘い物、油物、揚げ物、ナッツ類が大好きということ。
これらが非常に痰湿を作りやすい食品であることを、まずお話しました。

痰湿は、お血と同様に治療に時間がかかるものですが、気長にとりくみましょう・・・ということで、解毒促進のタンポポ茶と、痰湿を溶かす性質のある穿山署預をお出ししました。
穿山署預は、化痰作用の強い里芋科の薬草が配合されているものです。

すると1ヶ月ほどで明らかに首の腫れが小さくなり、1ヶ月半たって、首筋が出てきて、殆ど違和感のないところまで腫れがひき、同時に後頭部のおできもできなくなった・・・手術を免れて、とても嬉しい!!!
とご報告にきてくださいました。

このタンポポ茶と穿山署預の組み合わせは、過去にも多くの奏効例があります。
痰湿が原因と思われる、膿胞、痛みがないおでき、バセドウ病の眼球突出などに、とても良い結果が出ています。


2015年4月21日火曜日

脾不統血の崩漏

脾不統血の崩漏

崩漏とは、女性の不正出血のことで、激しく雪崩れるように出血するものを崩、ちょろちょろと漏れ出すような出血が長引くものが、漏で、いずれも早い内に対処しないと、出血が止まりにくくなり、難治性となるので注意が必要です。

崩漏には、いろいろな原因がありますが、その中の一つに、脾を病むことにより止りにくくなる出血があり、これを脾不統血の崩漏といいます。
脾は元気、気力を作り出す大元で、気がしっかりと満たされていれば、血液や汗、精などが管から漏れ出すことを防ぎ、気の力で留める働きがありますが、脾を病んで、気の力が低下すると、このような出血が起こったり、ジワジワと嫌な汗をかいたりします。

このようなタイプの出血を起こす方は、パニック症や神経症の方に非常に多いです。
例えば、
1,頭ではわかっていても、どこか信じることが出来ない(相談者の助言をどこか否定してしまう)
2,ああなったらどうしよう、こうなったらどうしよう・・・と先々まで悩み途方に暮れ、何も手に着かない
3,完璧症で、きちんと出来ないことに不安を感じる (計画どおりにいかないと、やる気をなくしてしまう)
4,自分で自分をコントロール出来ない状況に追い込まれるとパニックを起こす(スーパーの列に並ぶ、歯医者や美容院のイス、高速道路走行、トンネルの中、飛行機や船などの途中出入り出来ない乗り物、授業参観など)

このように頭で出口のない答えを考えると、血液を大量に消耗し、なおかつ脾の力は衰えます。
そして、甘い物が欲しくなり、甘い物を多食すると、ますます脾に負担がかかり、気血を作り出す力が衰えてしまうのです。

先日もこのようなタイプの方に、新ノーゲンと加味帰脾湯を処方しました。
とにかくストレスが多く、不安が強くて、入浴で湯船にも漬かれない。
出血が二週間以上続いている。
というものでしたが、新ノーゲンを服用し、二週間ほどで、不安が軽くなり入浴できるようになったのが何より嬉しいとおっしゃっていました。
また、続いていた出血も、無事に止まりました。

このようなタイプの方は、
1,甘い物と油ものを控え、赤身の肉、イカ、タコ、色の濃い野菜、黒い食べ物をしっかり食べる
2,細かい計画に捕らわれず、今何をしたらよいか?そしてそれに集中し、余分なことを考える暇をなくす
3,運は自分に味方してくれる!と信じ”ありがとう!”の気持ちと”大丈夫!”をいつも唱える
などの養生も心がけてください。

2015年4月8日水曜日

心が緊張しない医療を♪

心が緊張しない医療を♪

こちらで養生しておられる方々の大半は、病院でも定期的に検査を受けられています。

日常を、とても元気に過ごしていらっしゃるのに、検査が近づくと不安になり、中には欝っぽくなる方が数多くあります。
どうしてか尋ねてみると、病院に行く度にめっぽう落ち込んで帰ってくるからだそうです。
状態がよくなければ、”余命~ですね!”と言われてみたり、検査の値がよく、状態がよくても、”安心できませんよ!必ず再発しますから、油断しないように”と言われ、”せんせ~、まずここへ寄らないと、落ち込んじゃって家に戻る元気なくしました・・・!”と泣きながら薬局に、息も絶え絶えに入って来られたりします。

病んでいる方の体と心をサポートして、その方の治癒力を高めてあげるのが、医療人の仕事であると思うのに、今の日本の医療はあまりにも過酷なことを、平気で言ってしまうように思います。
医療者側からすれば、最悪の事態も想定して、そうならないように覚悟してゆきましょうね!ということなのかもしれませんが、もう少し患者さんの心に気を配った言い方ができていれば、訴訟問題などにも発展しないように思うのです。
しかも、脅すだけ脅して、それならどうすればよいかを提案していただけないから、始末が悪いわけです。

今日も、抗ガン剤をやらなければ、余命3ヶ月ですよ!と言われたご家族の方から、メ~ルが届きました。
この方は、抗ガン剤の副作用が強く出たために、抗ガン剤を止められて、自然に任せ養生されていた方なのですが、余命3ヶ月と言われてから、すでに一年半が経っています。
昨日の検診後の説明で、”やはり、末期の状態です”と言われ、その後こんなやりとりが・・・。

★お便りを引用★
(理恵先生、びっくりしたのが今日父が、抗がん剤の強いのをして、副作用がすごかったら、こんなに生きてないんじゃないだろうかと思ってって言ったら、ドクターの口から、そうかもしれません、正直言って抗がん剤は毒ですと…
腫瘍だけに強く効いてくれるといんですけど、正常細胞にも悪影響を与えますのでと。

西洋医学のドクターの口から、まさか抗がん剤は毒ですなんて、言葉を聞くとは。
でも、この前も訪問看護の看護士さんも言ってました。
ガンと言うより、抗がん剤であちこち弱り亡くなる人が多いと。)・・・そして改めて養生されてゆく決意をされました。

病から立ち直るには、”元気になる!”という強い意識が必要です。
病は気から・・・と言われるように気の力が、治癒力のスイッチを入れ、治るための化学反応を起動させてゆくのですから、医療者はそれを助けるようなムンテラをすべきです。
いつも言いますが、養生には手遅れはありません。
始めたその日がどん底で、畳の目のごとく、体の中が変化しはじめます。
人は例外なく一度は最期を迎えますが、養生を重ねると、逝き方も苦しみ少なく穏やかです。

病を治すのは、本当は自分自身の治癒能力です。
適切な薬や外治法、食事、手当て、温かい心は、治癒能力を引き出し、高めるツールであり、それを上手く選択してアドバイスできるのが、自分のライフワークだと感じています。
自分も折に触れて基本に戻り、傲慢な態度に出ていないかをチェックしながら、真摯でかつ愛情をもって、ご相談される方々に接してゆきたいと思います。